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表彰 梶木賞

第14回梶木賞受賞表彰式を開催しました。

 全国農村振興技術連盟では、3月7日、農業土木会館において梶木賞審査委員会 久保成隆委員長他関係者が参列し、第14回梶木賞受賞表彰式を開催いたしました。当連盟委員長の挨拶、久保委員長の審査講評につづき、受賞された3名の方に表彰状が授与されました。また、表彰式会場と受賞者の職場をオンラインで繋ぎ、職場の代表にもリモートでご参加いただきました。

梶木賞受賞者

    最優秀賞(1編)
    ・「農村の直面している課題とその対応策」
      ~「人」が変わる、「地域」が変わる~
      宮城県連盟 竹谷 史香
    優秀賞(2編)
    ・「農村の直面している課題とその対応策」
      ~農業・農村における、環境という価値の発見~
      東北農政局連盟 日比 絹子
    ・「農村の直面している課題とその対応策」
      ~農地整備と地域コミュニティの活性化による想いの伝播~
      中国四国農政局連盟 斉藤 正悟

 審査委員長講評

梶木賞審査委員会委員長
(公社)土地改良測量設計技術協会
    会長  久保 成隆

 審査講評をさせて致きます。
 私は、梶木賞審査委員会委員長を仰せつかりました久保成隆でございます。5年前に東京大学を定年退職し、現在、土地改良測量設計技術協会の会長を務めさせて頂いております。

 全国農村振興技術連盟の奥田委員長から依頼により、第14回梶木賞に応募のあった27編の論文につきまして審査させて頂きました。その審査の状況、結果につきまして審査委員を代表して、ご報告させて頂きます。

 梶木賞の審査につきましては、若手技術者の資質の向上を図るという梶木賞の趣旨に沿って、「農村振興の将来を見据えた提言・抱負であること」、「独創的であること」、「わかりやすく、説得力があること」、「現場への適応性が高いこと」、「農業農村整備にふさわしい内容が含まれていること」、「ローカルなものも取り上げること」という6項目の審査基準に基づいて、12月上旬から1次審査を行い、1月31日に2次審査のための審査委員会を開催し、2次審査対象論文8編の中から、最優秀賞を1編、優秀賞を2編、選考いたしました。

 最優秀賞には宮城県農村振興技術連盟所属で、宮城県北部地方振興事務所勤務の竹谷史香さんの論文『農村の直面している課題とその対応策、~「人」が変わる、「地域」が変わる~』を選考いたしました。

 竹谷さんの論文は、「大崎耕土の水管理システム」の世界農業遺産認定を契機とした地域振興のために伝統文化の保存活動に関わった経験を通じて、「農村振興のためには地域全体の主体性の醸成」が課題であり、そのためには、「じぶんごと」として意識し、自ら考える場を設定し、モチベーション向上のために成果を可視化する、と言った具体的な対策も述べられており、着想とその展開のすばらしさが高く評価されました。

 優秀賞としては、東北農政局農村振興技術連盟所属で、東北農政局平鹿平野農業水利事業所勤務の日比絹子さんと、中国四国農政局農村振興技術連盟所属で、中国四国農政局南周防農地整備事業所勤務の斉藤正悟さんの2編の論文を選考いたしました。

 日比さんの論文『農村の直面している課題とその対応策、~農業・農村における、環境という価値の発見~』は、世界的な環境問題への関心の高まりのなか、国内でも環境負荷の少ない農業への取り組みがはじめられようとしている点に着眼し、環境を価値として打ち出すことで農村振興を進めようという提案です。その方策として、営農、農業基盤整備、地域資源の面で具体的な提案がなされており、時代の流れを捉えた論文であり、とても良い視点から書かれている点が評価されました。

 斉藤さんの論文『農村の直面している課題とその対応策、~農地整備と地域コミュニティの活性化による想いの伝播~』は、自身の携わる農地整備事業を通じて、ハード事業の農地整備の限界を理解し、その先のコミュニティの活性化についての方法や問題点を考察し、コミュニティ形成に果たす行政の役割についても思いが至っており、的確な分析と論理的な考察の行き届いた論文でした。地域を守る強い思いをもつ若い世代が必要といった若者らしい主張がある点も評価されました。

 最後になりますが、私自身、今回初めて選考に携わらせていただきましたが、読み応えのある応募論文が多数あり、一次審査から判定には迷うところが多々ありました。他の審査委員の方々からも審査委員会において審査に苦慮したという話が聞かれました。いずれの作品も、これからの農業農村整備を担う若者が、幼少の頃から現在に至る自身の体験や仕事をしていくうえでの悩みや葛藤を踏まえ、これからの農村振興をどのようにして進めるべきかについて真摯にかつ率直に表現しており、関係諸氏に共感を与えうる作品であったことをご報告し、審査の講評といたします。